観察用ウシ卵巣モデル

商品説明  超音波(エコー)観察用ウシ卵巣モデル

北里大学獣医学部 動物飼育管理学研究室(十和田市)とライブストックジャパン(同)において、繁殖技術者養成のためのトレーニング教材として、動物福祉に配慮した『超音波(エコー)観察用ウシ卵巣モデル』を新たに開発しました。この開発により、経験の浅い技術者に対する効果的なトレーニングが可能となり、技術力向上によって農家の生産性向上に寄与できるものと考えられます。さらに、動物生体への負担を軽減できる効果も期待できます。

1.開発の背景

乳・肉用牛の繁殖成績低下は、農家において収益性に大きな影響を及ぼす問題です。繁殖成績低下には、種々の要因が複雑に関与していますが、人的要因とも言える繁殖技術者の技術力を底上げすることは非常に重要な課題です。特に、経験の浅い繁殖技術者では、生産現場で十分なトレーニングをする機会が乏しく、結果的に経験不足(技術力不足)に陥っています。

近年、持ち運びが容易な携帯型の超音波画像診断装置(エコー)が、人工授精臨床現場において普及が進んでいることを背景に、エコーを用いた牛の繁殖技術向上に関するニーズが高まってきており、各地で講習会等が開催されるようになってきました。

現状における講習会では、と畜場由来の卵巣や生体を用いた実技が一般に行われています。ところが、衛生上の問題や、初心者による検査は供試牛に対して大きな負担となります。

今回開発した動物福祉に配慮した『超音波(エコー)観察用ウシ卵巣モデル』は、上記の問題点を解決するために開発した、これまでにない模擬モデルです。共同研究機関の特許技術を活用した卵巣モデルは、エコー観察下で実際の牛の卵巣のように映るので、初期段階における基礎技術習得に役立ちます。

2.エコー観察トレーニングの方法

エコー観察用ウシ卵巣モデルを水槽に沈めて、水面下でエコープローブを卵巣モデルに当てます。様々な角度からプローブを卵巣モデルに当ててみて、プローブの当て方でエコー画面にどのように映るのか、をイメージできれば、実際に生体を用いたエコーによる卵巣観察の手技習得の際に操作がスムーズにできるようになります。

初めてエコーによる卵巣観察を行う際、まずは、卵巣がエコー画面にどのように映るのか、を知っておく必要があります。エコー画面での映り方を知っていれば、実際に生体を用いた際に、“あっこれだ” と分かることになります。

また、エコープローブを卵巣にどう当てるか、角度や方向によってエコー画面の映り方が違ってくるので、画面を見ながらプローブを操作する必要があります。卵胞のサイズや数、黄体の形状など、自分が確認したい卵巣の状態を把握するために、卵巣の横断面、縦断面を自在に映し出せる技術が必要になるのですが、これを最初から生体を用いて行うには、生体への負担を伴います。そのため、初期段階における基礎技術トレーニングとして、エコー観察用ウシ卵巣モデルの活用が期待できます。

3.OPU(経腟採卵)の技術習得にも

体外受精卵の需要は近年、急速に高まってきています。体外受精卵作出のための、生きた牛の卵巣内からの卵子吸引(経腟採卵:OPU)の技術習得にも、エコー観察用ウシ卵巣モデルの活用が見込めます。

卵巣を手のひらでどのように操作すれば、採卵針を卵胞の中心部に導くことができるようになるのか、頭の中では分かっているつもりでも、最初は思うようにいかないものです。卵巣-卵胞-採卵針の位置関係を立体的に把握するためにも、まずは、モデルによるシミュレーションが効果的です。