北里大学発ベンチャーのライブストックジャパン株式会社(青森県十和田市)が、家畜の生産性に影響する畜舎の換気状況の目安であるCO2(二酸化炭素)濃度をリアルタイムで遠隔モニタリングできるシステム「サーモニCO2プラス」を開発し、サービスを開始します。
「サーモニCO2プラス」は、環境センサー端末のみで家畜に対する独自の熱環境指標(ストレス度合い)として畜産農家に提供しているサービス「サーモニ」に、CO2濃度をモニタリングできる機能を新たに付加したものです。
このサービスにより、畜産農家では、家畜に対する暑熱・寒冷ストレスのリスクのほか、畜舎の換気状況をスマホでいつでも把握できるようになり、適切な換気が行われることによって、換気不足が原因で発症する疾病や生産性の低下を軽減できるようになります。
さらに、気候関連の危険や自然災害に対応できるレジリエンス構築の実現を目指している持続可能な開発目標:SDGsの達成と、家畜の快適性に配慮した飼養管理を目指すアニマルウェルフェアの実践にも寄与するものです。
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「サーモニ CO2プラス」の概要

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「サーモニ CO2プラス」のスマホ画面

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【サービスの背景と目的】
畜舎においては、家畜の呼気による二酸化炭素やメタン、排泄物から発生するアンモニアなど有害ガスが蓄積します。アンモニア濃度が高い畜舎では、特に幼畜において鼻・気管の粘膜が炎症を起こし易いことが知られており、子牛では換気不足になりがちな冬期に呼吸器疾患が増加することが報告されています。
THIと子牛の疾病との関係

- このように、畜舎の換気は適正な熱環境の維持のみならず、空気中の有害物質の除去や新鮮空気の供給のために不可欠な環境制御の手法のひとつです。
- しかしながら、多くの場合、畜舎の換気は経営者の勘や体感によって管理されており、結果的に生産性の低下を招いているのが現状です。
- 畜舎内の換気量を把握する手段としては、送風機や換気扇からの風量を風速計で測定したり、ガス検知管などを用いて風の流れを確認する手段が用いられてきました。
- 一方で、近年ではICTの普及によって、種々のセンシングデータをいつでもどこからでも把握できるようになってきており、新型コロナウイルス対策の一環として、室内のCO2濃度をモニタリングすることで換気の状況を把握し、“密”を回避する取り組みが広く普及しています。
- そこで、畜舎の換気状況の目安であるCO2濃度をリアルタイムで遠隔モニタリングできる、これまでにないサービスを開発、提供開始しました。
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【サービス内容】
1.畜舎環境遠隔モニタリングシステムの運用
環境センサー端末のみでクラウドへデータを送信できるシステム※を導入することで、面倒な作業や設定がいらない仕組みにより、リアルタイムでCO2濃度、畜舎内環境(温度、湿度)を取得
2.独自開発の熱環境指標の提供
環境センサーで得られたCO2濃度のグラフ表示、温度と湿度から温湿度指数(THI)を算出し各畜種に応じた独自の熱環境指標(ストレス度合い)を可視化して農家に提供(専用ウェブサイト)
3.生産履歴の入力
専用のウェブサイトでは、生産履歴データ(疾病治療数、乳量、産卵数、発育など)を入力可能
4.データ解析、オーダーメード環境指標の提供
蓄積された種々のデータを解析し、各農場に応じたオーダーメードの畜舎環境指標を設定、農家にフィードバック(オプション)

※本システムは、KCCS社が運用するSigfox通信規格とマスプロ電工社製センサーを採用しています。 本システムは、Sigfox通信エリア内にてご利用いただけます。 ※Sigfox通信エリアの確認について カバーエリアは、KCCS社のエリア検索ページからご確認いただけます。 https://www.kccs-iot.jp/area/ ※Sigfox通信エリア圏外のお客様には、基地局のレンタルサービスを提供しています。
Sigfox(シグフォックス)ネットワークは、2009年に設立した仏国Sigfox社が提供するLPWAネットワークです。日本国内では920MHz帯アクティブタグとして制度化されている帯域を使用したサービスを、京セラコミュニケーションシステム株式会社(KCCS)が電気通信事業者として展開しています。
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お申込み、お問い合わせ
ライブストックジャパン株式会社
TEL:090-3367-2525
mail:livestock@ozzio.jp
※「サーモニ CO2プラス」ご利用料金につきましては、上記にお問合せください。
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