Heat Switch【ヒートスイッチ】

(スタンディング発情検知システム)

センサーとスマートフォンだけの超ミニマルな構成で繁殖雌牛の発情を精度良く検知できる画期的なシステム「Heat Switch(ヒートスイッチ)」を開発しました。

イニシャルコストとランニングコストを大幅に抑えられるこのシステムの活用により、牛舎や放牧地における繁殖雌牛の発情発見効率と受胎率の向上が図られるとともに、発情観察にかかる労働負担の軽減も期待できます。

・雌牛の繁殖成績の指標である分娩間隔が延長していることは、長年、重要な課題として認識されているにもかかわらず、目標である“1年1産”(365日)には程遠い状況です。これまでの研究成果から、発情発見効率を高める(発情見逃しを防ぐ)ことで分娩間隔を短縮できることが示されています。

・発情発見効率を高めるための取組みとしては、ネックベルトなどに装着した加速度センサーによる行動量の増加から発情を検知する畜産ICT機器の普及が進んでいます。しかしながら、システムとして設備が大掛かりで導入費用や運用費が高額なこと、何より、行動量の増加が必ずしも発情とは限らないため、誤報が多くなることが課題です。

・牛の発情兆候には様々な行動があり、「落ち着きなく動き回る(行動量の増加)」はスコア5であるのに対し、「スタンディング」はスコア100とされています。スタンディングとは、雌牛が他の牛からの乗駕を静かに許容する状態のことであり、真の発情行動と言えます。

・スタンディングを検知することこそが、発情発見効率の向上と受胎率向上のために重要です。そこで、真の発情行動であるスタンディングを遠隔でモニタリングできるシステム「Heat Switch(ヒートスイッチ)」を開発しました。

・さらに、スマートフォン用アプリである“LINE”ですべての運用を完結できるようにしました。これまでの既存システムとは大きく異なり、センサーと手持ちのスマートフォンだけで真の発情行動を検知できる超画期的で超ミニマルなシステムにすることを実現しました。これまでの実証試験においても、高い発情発見効率を確認できています。

①「Heat Switch(ヒートスイッチ)」をLINEでお友達に追加する。
②スイッチセンサーのQRコードをスマホで読み込み、センサーを登録する。
③スイッチセンサーをケースに入れて、対象牛の十字部(左右の腰角を結んだ線と背骨が交わる部分)にボンドで貼り付ける。
④1日3回(6:00/12:00/18:00、LINEで通知(スタンディングを検知した牛の情報、回数、スタンディングのあった時刻)
⑤センサー情報は、LINEのお友達に誰とでも共有可能

・昨今の情勢下において放牧は飼料費の節減だけでなく、飼養管理や飼料生産作業の省力化、牛の健康増進による衛生費の削減、繁殖成績の向上といった効果が期待できます。

・しかしながら、放牧が舎飼いと大きく異なる環境・飼養条件であることから、一般的に活用されている畜産ICT機器では対応できません。放牧においては飼養面積の広さ、牧区の移動による行動の概日リズムの多様性などの要因により、活動量によって発情を検出することは困難だからです。

・今回開発した「Heat Switch(ヒートスイッチ)」は、これまでに報告されてきた加速度センサーやWi-Fi、GPSや中継基地局といった大掛かりな設備は一切不要であり、小型のセンサー端末のみで放牧牛の発情発見を実現できる画期的なシステムであり、人里離れた山奥の放牧地における夜間のスタンディング行動をどこからでも把握可能なこのシステムの有効性が示されています。

・これまでの実証結果から、「Heat Switch(ヒートスイッチ)」によるスタンディング開始時刻から人工授精までの経過時間と受胎率との間に関係性があることが明らかになっています。つまり、「Heat Switch(ヒートスイッチ)」を導入することにより、発情発見効率の向上だけでなく受胎率の向上を実現できることが示されました。

・牛の繁殖を成功させるうえでは、スタンディング発情を基本とすること、飼養管理上も、スタンディング発情が発現するような管理をすることが重要とされています。“行動量の増加=発情”とは言えません。

・群構成を換えたり、牛床を入れ換えたりすれば行動量が変化するのは自明のことなので、行動量のモニタリングで発情を検知するには限界があります。自然の摂理に基づくと、雌牛が雄牛を許容する行動(スタンディング)を我々人が見つけ、そのタイミングで人工的に繁殖させることが成功の本質と言えます。

・これまで、多くの畜産ICT機器が開発され、補助金の投入などで広く普及するようになってきました。一方で、畜産をめぐる情勢は必ずしも右肩上がりが続く訳ではないことを痛感させられました。せっかく導入した生産性向上のためのICT機器の運用費が経営の重荷になっては本末転倒です。

・今回開発したスタンディング発情検知システム「Heat Switch(ヒートスイッチ)」は、家畜繁殖の専門家で畜産ICT研究に長年従事してきた立場だからこそ実現できた画期的なシステムです。最小限(ミニマル)の仕組みにすることにより、畜産ICT機器でありながら消耗品価格での導入、運用が可能になります。

・さらに、広大な放牧地で発情を検知できるはじめての畜産ICTシステムであると認識しています。私たちは、畜産の専門家でなければ実現できない、農家に寄り添った新技術の開発を現在も進めています。今後の研究成果にもご期待ください。

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